「九朝の古都」 悠久の都 ~洛陽~
河南省の西部、黄河の中流に位置する“洛陽”は、洛水の北岸を意味する「古洛水之陽(古洛水の北)」という言葉が地名の由来となっています。この地域は、華夏文明発祥の地、5,000年の歴史を誇る悠久の古都として世界的にも知られています。また、中国王朝の東周、後漢、そして三国の魏、西晋、北魏などが都を置いたところから「九朝の古都」とも呼ばれており、その呼び名に相応しく町近郊には多くの観光地があり、中国の歴史に興味がある方にとっては、魅力的な名所旧跡が揃っています。
~中国の長きに亘る歴史を体感~中国歴代王朝文化の結晶で世界文化遺産であり、敦煌の莫高窟、大同の雲崗石窟と並ぶ中国三大石窟のひとつと言われる「龍門石窟」は、造営が開始された493年前後より多くの王朝が絶え間なく開削と造営を続けたため、山に彫られた洞は数千にも及ぶと言われ、中唐までにおよそ3万体の仏像が作られた石窟寺院です。町の北東郊外にある「白馬寺」は、仏教が中国に伝来して初めて建立された1,900年以上の歴史を持つ仏教寺院であり、山門には2頭の馬の彫像が置かれています。境内東側には、この寺のシンボルとなっている高さ35mの木造建築「斉雲塔」があり、中国仏教の「釈源」「祖庭」と称されています。三国時代の蜀の武将・関羽の首が埋葬されていると伝えられている「関林廟」。義を重んじ劉備に忠義をつくした英雄・関羽は、後世様々な信仰の対象となり中国各地に祭られるようになりましたが、ここ洛陽にある関林が最古のものとされています。洛陽市内の南側、龍門東山琵琶峰にある唐代の大詩人・白居易の墓所を中心に作られた公園「白園」には、中国で最大の石書と言われる白居易の「酔吟先生伝」石臥碑のほか、蒋介石のかつての別荘もあり見学することができます。その他にも、夏王朝期から宋代までの素晴らしい文物や唐代王侯貴族の美術品、副葬品として作られた唐三彩コレクションが収蔵されている「洛陽博物館」、洛陽で出土した前漢から北宋に至るまでの代表的な墓を展示するテーマ博物館「洛陽古墓博物館」など、まだまだ多くの歴史的見どころがあります。
洛陽は牡丹(洛陽市の「市花」)の名所としても有名で、町の中心に位置する「王城広場」には牡丹の名所と言われる「王城公園」があり、毎年4月の牡丹が咲き誇る季節には牡丹祭り「牡丹花会」が開かれます。日本と同じく四季がはっきりとしている洛陽は、牡丹の花が満開となる春、連日大勢の観光客で賑わいをみせますが、1年を通じて中国の歴史的名所旧跡を巡る味わい深いご旅行をお楽しみいただけるお勧めの観光地と言えます。
悠久の古都の雰囲気漂う街並みを、長い時の流れを感じながらゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。