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トルファン~灼熱の火州~オアシス都市~

シルクロード地図

紀元前2~3年ごろ、中国の長安(現:西安)とローマを結んだ交易路は、中国からの主な輸出品が絹(シルク)だったことから「絹の道(シルクロード)」と呼ばれ、ヨーロッパと中国との間で数々の交易、交流が行われていました。そのルートは、西域南路、天山南路、天山北路の3つにわかれ、当時の中国の中心・長安から延びる道は広大な砂漠や谷々を縫ってその間に点在するオアシス都市と結ばれていました。それらの中でもトルファンは天山南路と天山北路の分岐点となる交通の要衝として栄えた都市です。

トラック横転

上海からトルファンへの移動は、ウルムチまで空路約5時間、その後バスに乗り継いで約3時間ほどです。ウルムチからトルファンまでの移動は、荒涼とした原野に地平線まで延びる道路をひたすら走ります。この地域は風が強く、強風のため横転したトラックや折れ曲がった表示板を見かけることもあります。CIMG1516

渓谷道路

道中、強風を利用した風力発電の風車群がどこまでも続き、石油発掘ポンプが群れをなしている光景を見ながら、荒れはてた荒野は突如乾いた土地に切り立った大渓谷へと姿を変えます。

刻々と移ろいで行く車窓の眺めに3時間の移動時間は飽きることもありません。

 それまでの乾いた土地から一転して緑の立木が出迎えるオアシス・トルファンに到着します。トルファンは、一年を通して非常に乾燥している砂漠気候に加え、海抜-154mという低地にあるため、夏の暑さは非常に過酷で、最高気温は平均40℃となり、50℃に達する場所もあります。一方で年間降水量は20ミリ、蒸発量3000ミリという凄まじい環境であり「火州」とも呼ばれています。

トルファン気温と降水量表

 

 

トルファン気温と降水量

このような厳しい自然環境の中で、緑豊かなオアシス都市となり得たのは、先人たちの知恵の結集「カレーズ」という地下用水路の賜物です。イラン、アフガニスタン、パキスタンなどにも存在する「カレーズ」は、山麓の扇状地などにおける地下水を水源とし、蒸発を防ぐために地下に水路を設けたものです。山麓に掘られた最初の井戸で地下に向かって竪穴(母井戸)を掘り、地下水(帯水層)を探します。地下水を掘り当てると、そこからオアシスまで20~30mごとに竪穴を掘っていき、それらの穴の底をゆるい傾斜をつけたトンネルでつなぎ、都市まで水を引いてきます。トルファンの水源は万年雪の積もる「天山山脈」の雪解け水の地下水が利用されています。この方法で、遠く離れた水源からオアシス都市を潤すことが出来るのです。

カレーズ断面図カレーズ現在、新疆ウイグル地区にあるカレーズは1784本で、総延長は5272kmにおよび、中国古代三大土木工事の一つといわれています。

 

トルファンが、杏・葡萄・西瓜・ハミ瓜など果物が豊富なオアシス都市であり、現在でも観光都市として存在し続けている大きな理由は、「カレーズ」によるところが大きいのです。現在でもトルファンには、「カレーズ」の仕組みをわかりやすく展示した「カレーズ記念館」もあります。

火焔山とラクダ

火焔山  トルファンのシンボルとも言える「火焔山」は、全長100km、幅10km、標高500mほどの山脈で、荒涼とした山肌に幾筋もの皺がたてに刻まれ、太陽の光を浴びて山自体が燃えているように見えます。その容姿は乾いた山肌に神々が爪で彫刻を施したかのようです。「西遊記」の舞台としても有名で、燃え盛る火焔山に行く手を阻まれた三蔵法師一行は、女仙人とその夫・牛魔王を退治、彼らが持っていた芭蕉扇により燃え盛る炎を消し天竺に帰って行ったとされています。「火焔山」には「西遊記」の有名なシーンをプレートで紹介する展示コーナーもあります。「火焔山」ではフタコブラクダに乗ったり、「西遊記」のキャラクター銅像との記念撮影の光景が多く見られます。

ベゼクリク千仏洞ベゼクリク千仏洞  火焔山の北麓に位置する高昌国の仏教遺跡で、渓谷1kmにわたり80以上の石窟がありその半数に壁画が残されています。壁画はヨーロッパ諸国に持ち去られたり、異教徒に破壊されたものが多数ですが、今なお鮮やかな色彩を放つ壁画も残っています。中でも涅槃図や西方浄土などの壁画は必見です。現在は外壁などの修復作業が進められています。ベゼクリク千仏洞に隣接する砂山を登り、大渓谷を俯瞰することもできます。しかし砂山は足を取らますし、山頂と思った場所が山頂でないため思ったよりもきつい登山となります。

高昌故城2高昌故城  高昌故城は、東西1.6km、南北1.5km外壁総延長約5km・総面積200万㎡の城塞都市で最大3万人が生活をしていたと言われています。歴史は古く、紀元前一世紀にはすでに城壁が建てられ、その後1300年以上も存在していましたが、13世紀末の戦乱の世に倒壊しました。玄奘が西国へ行く途中、国王の菊文泰に引き止められ、一ヶ月間説法を行った地としても有名です。故城は、日干しレンガ積みの建築物で構成されており、風化が激しいところもありますが、外城壁、内城壁、宮城壁、カカントーチカ(可汗堡)、烽火台、仏教タワーなど、保存状態の酔い建物を観光することができます。広大な面積のため、ロバ車に乗って見学することをお勧めします。入口を入るとすぐにロバ車が並んでいますので指定されたロバ車に乗って10分ほど走ったところから徒歩見学するとよいでしょう。

交河故城鸟瞰图交河故城  交河故城は世界最大、最古の土で築かれた都市遺跡です。故城遺跡の全長は約1650メートル、幅は最大で約300メートルです。建築物はすべてが天然の土を掘って作られたもので唐の都、長安に似た配置となっています。寺院や議会の跡地、塔群、民家など様々な建築物が集まった古代遺跡であり、空から見ると交河故城は一枚の大きいな柳葉のように見える形をしています。2000年以上にわたる時を経て今でも高く聳え立つ交河故城は「世界で最もすばらしい廃墟」と言われています。故城内は徒歩で見学しますが、監視カメラが各所に設置され、定められた歩道以外に立ち入ると罰金が課せられるので注意が必要です。

アスターナ古墳  高昌故城の北に位置する地下墳墓であり、高昌国時代の貴族の墓で600基もの古墳が並んでいます。花鳥の壁画が残された墓室とガラスケースに収蔵された2体のミイラが納められた墓室を見学できます。トルファンのミイラはエジプトのそれとは異なり、防腐処置などがされておらず遺体がそのままミイラ化したことが大きな特徴です。

トルファン葡萄木4他にも少し足を伸ばせば、クムターグ砂漠や四代宗教の交わる場所といわれる吐峪溝などの観光地もあります。大自然と歴史ロマンあふれるトルファンはシルクロード観光のメッカと言えます。