上海に住む日本人の子供たちに広くサッカースクールを展開している「total football Asia(略:TFA)」が、日本で始めてサッカーキャンプを実施しました。
TFAは、これまでも連休などを活用し上海でミニキャンプは実施していますが、6日間の長丁場。しかも日本で実施するサッカーキャンプは今回が初めての試みです。
東和旅行社では、企画の段階から携わらせて頂き、キャンプ中も終日同行させて頂きました。
TFAエリートサッカーキャンプin Japan ‘10 概要
◆日 時:7月`30日(金)~8月4日(水) 5泊6日
◆主 催:total football Asia(中国)
NPO法人total football Asia(日本)
◆協 力:上海東和旅行社
◆目 的:
①サッカーを通じて子供たちの“夢”と“感動”を創造する
②子供たちの健全な心身の育成とスポーツへの関心を高める
③日本の強豪クラブのレベルを肌で感じる
◆内 容:
①元横浜Fマリノス遠藤彰弘氏による特別指導
②Jリーグ観戦(横浜FマリノスVS名古屋グランパス)
③暁星国際学園サマーカップ2010参加(強豪クラブチームとの試合)
④FIFAワールドカップ日本代表チーム・小倉勉コーチによる講義
◆場 所:
①7月30日(金)~7月31日(土):宿泊:新横浜プリンスホテル
②7月31日(土):練習会場:マリノスフットボールパーク東山田
③8月 1日(日)~8月4日(水)
:大会会場&宿泊先:暁星国際学園(千葉県木更津)
TFAエリートサッカーキャンプin Japan ’10スケジュール
日 | スケジュール |
7月30日(金) | 9:50 上海出発(上海および各地からキャンプ地・新横浜へ移動) 18:00 新横浜プリンスホテル集合 19:00 新横浜プリンスホテルレストラン・ケッフェルにて決起集会 |
7月31日(土) | 午前 マリノス・タウン施設見学、ショッピング 午後 マリノスフットボールパーク東山田にて遠藤氏による特別指導 夜 横浜FマリノスVS名古屋グランパス戦観戦 |
8月1日(日) | 午前 暁星国際学園(木更津)へ移動 13:00 暁星国際学園サマーカップ2010開会式 13:30 暁星国際学園サマーカップ2010・1次リーグ 夜 FIFAワールドカップ日本代表チーム・小倉勉コーチによる講義 花火大会 |
8月2日(月) | 午前 暁星国際学園サマーカップ2010・1次リーグ 午後 暁星国際学園サマーカップ2010決勝リーグ 夜 胆試し |
8月3日(火) | 午前 暁星国際学園サマーカップ2010決勝リーグ 午後 暁星国際学園サマーカップ2010決勝リーグ 16:30 暁星国際学園サマーカップ2010表彰式・閉会式 夜 ピッチでサッカーを語り合う夕べ(TFAのみ) |
8月4日(水) | 午前 TFA紅白戦 14:00 上海および各地へ向けて出発 23:00 上海到着 |
TFAエリートサッカーキャンプin Japan ‘10同行記
今回企画段階から携わらせて頂き、ツアー中も終日同行させて頂きました弊社から同行記をお届けします。
7月30日(金) ~上海および各地からキャンプ地の横浜へ~
上海から直接参加した子供たちは9名。中国国際航空で成田空港へ降り立った後、宿泊橋の新横浜プリンスホテルへバスで移動。これに夏休みで一足先に帰省している子供、すでに本帰国した子供たちが宿泊ホテルで加わり総勢40名という大所帯のキャンプとなった。
チェックインの後、初日夜はサッカーキャンプの決起集会。臨時監督として翌日から指導にあたる遠藤彰弘氏(元横浜Fマリノス、ヴィッセル神戸でJリーガーとして活躍。弟の遠藤保仁氏はワールドカップ南ア大会に出場したことでも有名)も参加。日ごろからサッカーでともに汗を流している仲間、久しぶりの再会を果たした旧友たちと交友を深めながら、そして時おりTFAコーチ陣の厳しい指導を受けながらの食事会でサッカーキャンプが始まった。
7月31日(土) ~サッカーキャンプ練習初日~
午前は、横浜駅から徒歩15分にある横浜Fマリノス練習施設「マリノス・タウン」の見学。ここは天然芝2面と人工芝1面のピッチに加え観戦スタンド、マリノスグッズオフィシャルショップ、レストランが集約された施設で、マリノス・トップチームの練習場である。中村俊輔や中澤といったサッカー小僧たち憧れの選手たちのホームタウンに降り立ち、子供たちもいささか浮かれ気味。施設見学後、マリノス・ショップにて、マリノスグッズ買い物。
マリノスカフェで昼食をとった後は、「マリノスフットボールパーク東山田」に移動し、いよいよ練習開始。翌日から始まる「暁星カップ」に備え、遠藤監督の指導の下、基本動作の反復練習。酷暑といわれている今年の日本の夏は、太陽の強さが違う。肌を刺すような日照りの中2時間に渡って練習が続けられた。
練習後はいったんホテルに戻りシャワー・着替えの後、マリノスvsグランパス戦(日産スタジアム)を観戦。応援むなしく残念ながらグランパスに敗れはしたものの、プロの妙技を目の当たりにし、気分はすっかりJリーガー。
8月1日(日) ~暁星国際学園サマーカップ2010(初日)~
10時半にホテルを出発。東京湾を横断するアクアライン経由で木更津「暁星国際学園」に向かった。途中「海ほたる」でトイレ休憩。展望台で記念撮影後、コーチの指示の下、ちょうど多目的スペースで演奏していた「マツモトタカシ」という歌手の歌にあわせ、子供たち全員が一斉にウェーブ。これには歌手も気分をよくした模様。
暁星国際学園に到着し昼食後、暁星国際学園サマーカップ2010開会式(暁星学園校長、松原良香氏(元Jリーガー/ジュビロ磐田ほか)、柱谷哲二氏(元Jリーガー/読売ヴェルディ)らのあいさつ)に続き、いよいよ1次リーグ開始。関東や静岡から参戦したチーム16チーム(12歳以下の部:U12=8チーム、10歳以下の部:U10=8チーム)による熱戦が繰り広げられた。
夕食後、FIFAワールドカップ日本代表チーム・小倉勉コーチによる講義。
日本代表チームがベスト16進出を果たした要因として、「Our super star is our teamwork(われわれのスーパースターはチームワーク)」を選手全員が認識していたことを紹介。選手同士の思いやりやスタッフに対するねぎらいなどが勝利に結びついた秘話を子供たちにわかりやすく語ってくれた。
講義の後は、サマーカップ運営会社フェリーチェモンドのみなさんによる花火大会。中国の花火とは一味違う日本の花火に一同感激!
8月2日(月) ~暁星国際学園サマーカップ2010(2日目)~
前日に引き続き午前中かけて1次リーグ開催。
≪1次リーグ結果≫
Aチーム(U12):1勝2敗/Aブロック3位→ゴールドリーグへ
Bチーム(U12):3勝0敗/Bブロック1位→プラチナリーグへ
Cチーム(U10):3勝0敗/Cブロック1位→シルバーリーグへ
Dチーム(U10):0勝3敗/Dブロック4位→アイアンリーグへ
午後からは各リーグに分かれて決勝リーグ開催。
夕食後は、お楽しみの肝試し。
まずは集会室で全員ホラー映画短編集を鑑賞の後、10名ずつのグループに分かれて学校内を巡回。
真っ暗で人気のない校内を子供たちは恐れおののきながら歩いていく・・・。中には恐怖感から逃れるため全員で歌を歌いながら進む子供たちもいる。
しかし・・・なぜその歌が「アンパンマン」なんだ?
ところどころ、フェリーチェモンドの皆さんの仕掛けた「恐怖ポイント」があり、そこでは100%絶叫を発しながら逃げ去っていく子供たち。中には恐怖のあまり半泣きになり、ずっこけた子供たちもいる。お化けはいつの時代も怖い。「TFAの子供たちが一番怖がってくれました」と翌日スタッフの皆さんに言われたほどの結果だった。
8月3日(火) ~暁星国際学園サマーカップ2010(3日目)~
前日に引き続き、決勝リーグ開催。
各試合の合間に「ドリブル・コンテスト(ドリブルの速さを競う)」「スピードガン・コンテスト(シュート速度を競う)」を開催。
刺すような日差しと酷暑の中、熱戦に次ぐ熱戦が繰り広げられた。勝利の喜びで抱き合う者、敗戦の悔しさに涙する者・・・
そしてTFAコーチ陣たちの叱咤激励。子供たちは必死の形相で最後の最後までボールを追いかけた。
≪決勝リーグ結果≫
Aチーム(U12):1勝2敗/ゴールドリーグ2位
Bチーム(U12):3勝0敗/プラチナリーグ優勝
Cチーム(U10):2勝1敗/シルバーリーグ3位
Dチーム(U10):1勝1敗1分/アイアンリーグ2位
4チーム参加したTFAチームは、各リーグで好成績を残し、特にBチーム予選から全勝という素晴らしい成績で見事優勝を果たした。
表彰式では、優勝したBチームに加えて、Aチームに対して「スポーツマンシップ賞(ピッチ内外で最もスポーツマンらしい立ち振る舞いをしたチーム)」が贈られた。
また、ドリブル・コンテストでは1名、スピードガン・コンテストでは2名が受賞。優秀な活躍をした者に贈られる敢闘賞にも1名が受賞した。そして大会を通じてのMVPにもTFAから選出され、日本から遠く離れた上海で鍛錬してきたTFAが日本の子供たちに引けを取らないことを見事に証明する結果となった。
閉会式終了後、応援に駆けつけた両親に子供たちから感謝の言葉。TFA野口代表からも謝辞を述べ大会は終了した。
夕食後、本坊コーチの発案で、全員ピッチに集合。センターサークルで車座になり、満天の星空観賞の後、「サッカーキャンプを語る夕べ」を開催。キャンプを通じての感想。試合の感想を皆で語り合った。勝った喜びを語る者。負けた悔しさを語る者。支えてくれたチームメイトに感謝する者・・・。
最後はピッチで爆睡している者もちらほら。そりゃそうだ。これだけの炎天下の中、あれだけ走り回ったんだから。
8月3日(火) ~紅白戦、そして各地へ~
午前中は、U12.U10それぞれ2チームずつに分かれて紅白戦を開催。
昨日まであれだけきつい試合をやっていたのに、まだサッカーがしたいという熱意に敬服。こどもたちにとってサッカーは一番の遊びであり、楽しみでもあるわけだ。
最後は、U12、U10の勝利チームとコーチ陣とでPK戦。恥ずかしながら筆者も参加させていただいた。
その結果、見事コーチチームが優勝!ゴールキーパーとして参加した筆者も見事セーブを決めてやった。大人をなめたらいかんよ。
昼食後、いよいよ解散式。遠藤臨時監督、松原良香氏のあいさつ、野口代表のことばでエリートサッカーキャンプが終了した。その後、成田空港行き、東京駅行きに分かれバスは出発した。バスに分乗する際、子供たちは「じゃあね」「またね」「バイバイ」を異口同音に発しながら帰途に就いた。本帰国した子供たちとは次回いつ会えるのだろうか。
定刻よりも1時間遅れて出発した上海便が浦東空港に到着したのは23時。親御さんたちの出迎えを受け子供たちは家路へ。真黒に日焼けした子供たちをご覧になった親御さんたちも安堵の模様。たくさんの土産話を子供たちから聞いてください。そしてちょっとだけたくましくなった子供たちのことを褒めてあげてください。
≪後記≫
今回キャンプに参加した子供たちは、2年生から6年生までの40名。
この子供たちの1次、決勝リーグの戦いを通じて一貫していたのは、「必死さ」である。ラインを割るまで決してあきらめない気持ち、勝利に対する執着、チームメイトを思いやるやさしさ、である。物事に対し、一生懸命に処することをあざけ笑う風潮がはびこっている昨今、子供たちがサッカーに取り組む姿勢は、真摯そのものである。うだるような暑さの中、倒れそうになりながらも必死に食らいつく形相、惜しくも敗れ敗戦に涙する姿は、感動そのものである。
競争することを否定する方針になってしまっている日本の教育とは大きく異なり、試合に負けたチームに対して「負けたということは、力がなかったということ。この悔しさをバネに次戦を必死で戦え!」と檄を飛ばすコーチの姿にも深い感銘を受けた。コーチたちの厳しく心やさしい指導があればこそ子供たちの言動につながるのだ。
今回のエリートサッカーキャンプに同行させていただき、子供たち、コーチ陣たちの姿を目の当たりにし思ったことは「日本の将来もまんざらじゃない。がんばれニッポン!」である。
同時に40年前に自分自身もサッカー小僧であったことも思い出した。もう一度サッカーでもやってみるか。